パーソナルカラー診断ってなぜ高いの?値付けの根拠は?

いまや身近な概念になり、なにかと話題になるパーソナルカラー診断。SNSでは当たり前にブルべかイエベかなんていう話題が囁かれ、コスメブランドまでもがパーソナルカラーを意識したカラーラインナップを揃えるほどまでになりました。世間の風潮・流行からくる相場感から、私自身もあまり価格設定を疑問視することはなくなっていました。しかし、サロン開店前にこのような意見を頂きました。「診断するだけなのに1万円以上、主婦にとってはちょっと難しい。」――ネット上でも「診断に1万円以上も出すのは理解できない。」といった意見も少なくありません。

そこで、イメコン業界に入る以前の2017年の私自身も同じ感想を抱いていたことを思い出しました。「似合う色をちょっと教えてもらうだけなのに、1万円?セレブの趣味?」と。イメコンが自分の生活に浸透する以前は理解できなかった、診断の意義や価値。それを生業とする者として、値付けされたサービスの価格設定を言語化する必要があると思い、筆を起こしました。

パーソナルカラー診断が高い理由

パーソナルカラー診断の値段はピンキリですが、個人サロンにおいては10000円~15000円程度が相場かと思います。(余談ですがこの料金設定は業界の相場感としては「中価格帯」となります。)

食事を用意するわけでも、お客さまのお手元にコスメやお洋服が残るわけでもありません。整形や美容院のように、診断を受けてすぐに見た目が変わるわけでもない。ちょっと自分のタイプを教えてもらうだけなのに、なぜお金がかかるのでしょう?

※これ以降はパーソナルカラー診断だけではなく、骨格・顔タイプ診断も話の対象として含まれます。

その方の“成功”を目的にアドバイスをするから

見た目に対してアドバイスを受けたい時、選択肢のひとつとして、ブティックやコスメカウンター、美容院で接客を受けることが考えられます。もちろん、彼らは快くアドバイスをくれるはず。しかし、考えてみてください。内容のすべてを素直に受け止められますか?

彼らは少なからずその店の売上のために在籍し、その手段としてアドバイスをしています。お客さまが気に入って買いたそうにしているけど実は太って見える服を、「似合わないので買わないほうがいいです」と水を差すスタッフはそうそういないし、ショップではそのような役割は求められていないでしょう。

私たちアナリストは、彼らとは違った役割を持っています。お客さまの持つ魅力や志向と向き合い、それを惹き出すために必要なもの・良くないものをお伝えすることです。それは、特定の商品を販売・利用促進するためではなく、純粋にお客さまの成功体験を目的としたアドバイスです。成功体験とは、周りの人から「可愛くなったね」「なんか最近素敵だね」と言われること。気になるあの人の視線を奪うこと。人生にとっての大切なシーンで、自分に自信を持って挑めること。

だからこそ、私たちの提供する顧客体験には相応の値段がついているのです。

よりパーソナルなアドバイスをするから

見た目に関するアドバイスなら、周りの垢抜けている魅力的な友人にアドバイスを求めることがあるかもしれません。では、彼らはなぜ魅力的なのか?――単に外見が優れているからではないはず。自分自身の強みをよく理解して見せ方を工夫しているから魅力的なのです。自分自身のことをずっと研究してきたからこそ成せるワザ。そのため、彼らは彼ら自身のこと程はあなたのことを知らないでしょう。彼らと同じように着飾っても、洗練されるわけではないのです。

私たちアナリストは、あなたの特徴・強みを専門知識をもとに論理化したうえで、あなただけに向けたスタイリングを提案します。

また、優良なサロンであれば「〇〇タイプはこう」と一律にアドバイスをすることはありません。例えばブルべ夏の方全員がくすみカラーが似合うわけはありませんし、骨格ストレートだからタートルネックがダメとも限りません。個人個人の特徴と照らし合わせて、その方だけにフォーカスしてパーソナルなアドバイスを行えば、時間も労力もかかるため料金も高くなっていきます。そう、中価格帯サロンでは「ちょっとタイプを教えるだけ」ではないのです。

安価なパーソナルカラー診断には注意

最近ではオンライン診断や自己診断のためのツールがネット上に溢れており、コスメや眼鏡ショップ、美容院でも診断を行うお店は珍しくありません。このような場であれば5000円もかからずに診断ができるでしょう。だからこそ、1万円以上の診断が”相対的に高い”と感じられます。では、これらのサービスはなぜこんなにも安価なのでしょうか?

自己診断(問診形式のオンライン診断)

迷信的なものと捉えて差し支えありません。自己診断の問診では、「肌の色」「瞳の色」などの項目に答えていくことになりますが、自分のことを客観的に正しく判断できるケースはまれです。また、パーソナルカラーの概念は、「実際に纏ってみてあなたが綺麗に見える色」であり、身体の色素による傾向はあるといえども、必ずしもパーソナルカラーと相関するとは限らないのです。私はこの手のツールを利用して、ブルべ冬と出たことは一度もないです(筆者はブルべ冬)。

オンライン診断(写真撮影)

パーソナルカラーは少しの振れ幅で結果が変わるため、私たちアナリストは光の当たり方に神経質になりながら、「顔色」「肌ツヤ」「フェイスライン」などの変化を、1色ずつ肉眼で確認しています。同じことを写真でできるはずがありません。そもそも写真で撮影した肌色と実際の肌色を比較してみると、大きく違うことが分かります。

ショップでの簡易診断・低価格帯サロン

パーソナルカラー診断の値段を比較する際に重要となる着目点は、「診断方式」「ドレープの枚数」「診断時間」です。これらは必ずチェックしてください。安価な診断の場合、簡易診断であるケースも少なくありません。

診断方式は、「4シーズン以上に細かく似合う色がわかるのか?」。ドレープの枚数は、「似合う傾向の取りこぼしがないのか?」。診断時間は、「アドバイスの緻密さ」と、それぞれの指標となります。これらの要素を省略すればするほど多くの方に安価で提供できるでしょう。

結果さえ分かればいいのであれば低価格帯の診断を使うのは賢い手段です。ただし、結果だけを以てすぐに垢抜けることははっきり言って難しいです。診断結果を正しく認識し、うまく応用するためのアドバイスがキレイへの近道になります。せっかくお金を払って診断を受けるのであれば、失敗はゼロに、理想の自分まで最短距離で辿り着きたくありませんか?

消費ではなく投資になる診断体験を

長々と診断料金が高い理由を述べてきましたが、私自身は当サロンの診断料金を「高い」、要するに「割に合わない」とは思っていません。値段以上の付加価値・顧客体験を提供できるよう最善を尽くしているからです。

これは私自身の考えですが、診断結果のためにお金を頂くとは思っていません。イメージコンサルタントは単なる診断士ではなくアドバイザーであって然るべきと考えています。ブルべ冬・骨格ストレート・顔タイプフェミニン――この診断結果だけ分かったとして、フルに活用したスタイリングに辿り着ける方はまれです。お客さま自身が診断結果を活かしてお洋服を選べるようにならなくては全く意味がないのです。

だからこそ、「骨格ストレート=深いネックライン」と断片的にただ似合うものをお伝えするのではなく、「立体感があるので首回りを開けることで抜け感がでます」と似合う/似合わないの理由まで説明することが大切です。骨格ストレートは立体感を相殺することがスタイルアップへの秘訣なのだと分かれば、ハイウエストが微妙なのもそれが原因、だったらきっとハイゲージニットなどの立体感を増す素材もいまいちだな、という発想ができるようになるのです。ここまで分かれば、あとは自分で服が選べますね。

私自身、最初に利用した安価なサロンで診断結果だけ放り投げられ1年くらい迷走しました。その間、かなりのお金と時間を無駄にしました。当サロンではお客さまにこんな体験をさせたくありません。そのため、「自分でアイテムを選べるようにレッスンする」のが私自身が提供したい付加価値です。そうすれば、お買い物の失敗や散財はぐっと減りますよね。診断料金を単なる”消費“ではなく“投資”と捉えて頂けたら、むしろ安い料金設定だと思って頂けるのではないでしょうか。

また、似合うスタイリングはその方の立ち居振る舞い、話し方、職業、経済事情などによっても左右されます。素敵なスタイリングをするためにイメコン的な見解は必要ですが、決してすべてではない。そこも含めて、画面越しや流れ作業ではできないきめ細やかな提案をすることが、中価格帯以上のサロンを運営するコンサルタントの役目だと考えております。

長くなりましたが、診断料金に関するコラムは以上です。

タイトルとURLをコピーしました